睫毛
う〜ん。悔いる。
おでこから鼻にかけての
マネキンみたいな美しいフォルムを見下ろす時には、鮮やかな過去の情景しか思い浮かばないが、時を経て、孤独を噛み締める夜には、己の幼さ故の身勝手さ、傲慢さに甘えた、欲に塗れた自分の分厚い面しかイメージできない。ほとほと呆れる。
大人は素敵だ。
なぜなら、子供の頃より、
手札も多ければ、戦法も数倍、増えている。
色んな遊び方を知っているし、その奥深さをも理解し得る。
しかし、逆を取れば、純粋無垢さ などとは程遠い、厭らしい論理や、知能合戦や、経験則に基づいた論破脳たちが邪魔をして、ややこしさは膨大になっている。
それでも僕らは愛の意味を知りたがるし、寂しさの埋め方をずっと探している。縋っている。孤独の完成形と、そこまでの過程だって、重々、理解している。
時を経て、変わっていくモノが多い分、あの時、変われなかった、変わらなかった、自分への後悔を払拭すべく、僕は腐ったアンテナを磨きなおして、現実を直視できるように、また対話を重ねる。身体も重ねる。目配せを送る。
其処に在った、微かに消えそうだが、幻みたいな、確固たる現実は僕のものだったし、君のものだったけど、根底は「純」な訳はないよね。
涙を流す。