実直
【実直】
正直、薄々、分かっている。
俺は何者でもなくて、
何者にもなれないということを。
蛙の子は蛙、その蛙、大海を知らず。
何処へも帰れず、気付いたら、沼の中。
傷つけてきた人の顔ばかり、思い出す。
借りた金の額、指折り、とっくに指は足りない。
後ろ指刺された日ばかり思い出されて、
夕暮れより、早く沈みゆく、心。
ロックスターの次は文豪で、文豪の先は何だ。
綺麗なお嫁さんの次は、毎日大変な専業主婦。
エモいとか青いとか、ロックとかパンクとか、
馬鹿みたいな日本語ばかりに侵食されちゃって、
どん詰まり、生き詰まり、行き止まり。
何が俺をイラつかせるのが分からない、
それ以前に今が現実なのかも分からない。
誰かからのディスなんて昨夜の布団で完結した。
まぁ、いいか。愛してるって嘯いて、手を握るよ。
死にたい自分と死にたい君を信じて。
全てが作用して、それらは熱を帯びて、
光が照らして、繋がって、僕等になるよ。
何も違わない。何も疑うな。
ファズに乗せて、歌おう。そうしよう。