誘発
仕事からの帰路、油断していた。
南国、鹿児島にしては、
少し肌を刺す寒さがやってきていた。
空気が澄んだ松原町の一角、
そこに、漂う、といより、馴染む、
いや、そこに溶けるコインランドリーからの、
強すぎる柔軟剤の匂い。
イヤホンから流れていた音楽も相まって、
なんだか堪らなくなった。
鼻をくすぐった。鼻水は、きっと、
涙を誘発するようにできている。
立ち止まるとき、ひたりと流れる、それら。
こんな夜は湯割りよりブレンドのL。
どうせ、シュワシュワが好きだから、
ハイボール飲みたくなっちゃうし、
ブレンドのLを片手に、煙、吸い吸い。
いつもの甲突川の、いつものベンチ。
街灯は控えめ、人と車の通りも控え。
そこで今。
悲しみも罪悪感も、きっとキリがないから、
省みるだけ省みて、生きる他ない、儚い。
でも、僕、楽しくないって言ったら嘘になるし、
ずっと前より充実してる、感謝してる。
明後日は、なんだか久しぶりのライブ。
この前のスタジオでは、間違えたら、
売れてしまうんちゃいますの。メンタルが
久々に来たから、とても楽しみにしている。
僕のものじゃなくなって、飛んでいけばいい。
コーヒーが冷めるまで居よう。
冬は好きだ。